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【糖尿病学会2026レポート③】糖尿病診療における運動療法の実際やその効果

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Joji Kusuyama et al. cell Metab   33(5) 939-956 2021

糖尿病学会2026レポート 第三弾

 

こんにちは、管理栄養士の千葉です。

 

今回は、糖尿病学会2026レポートの第三弾として、糖尿病診療における運動療法の実際やその効果についてのお話を報告させていただきます。

 

 

運動療法に関する最新知見と実践戦略

糖尿病をはじめとした生活習慣病の治療において、運動療法の重要性は広く知られています。近年は、そのメカニズムや効果の個人差、さらには次世代への影響にまで研究が進んでいます。

本稿では、学会報告をもとに最新の知見をご報告いたします。

 

1.糖尿病診療における運動療法の実践戦略

運動による血糖管理改善効果はすでに確立されています。

順天堂大学の加賀英義先生による報告で、運動効果についてのメタアナリシスの結果では、有酸素運動においてはジムなどでの監視下実施と非監視下実施で効果に大きな差はありませんでした。一方で、筋力トレーニングや高強度インターバルトレーニング(HIIT)では、監視下での実施の方がより高い効果を示すことが明らかとなっています。

さらに、糖尿病患者において運動習慣のある群は、非運動群と比較して軽度認知障害(MCI)および認知症の発症オッズ比が低いことが報告されています。また、運動群では海馬体積の増加も認められ、認知機能への良好な影響が示唆されています。

加えて、週2回以上の監視下運動(例:フィットネス施設など)を継続している群では、骨格筋指数、下肢筋力、バランス能力、ロコモティブシンドローム指数、大腿骨頚部骨密度、認知機能評価のいずれも良好な結果が得られています。

 

2.妊娠期運動が次世代へ与える影響

東京大学の楠山穣二先生の報告では、妊娠期の運動が次世代の代謝機能に影響を与える可能性が示されています。

母体の肥満や糖尿病は、次世代へと代謝異常が伝播することが知られていますが、動物実験において、妊娠期の運動介入により胎児の耐糖能が改善することが確認されました。

特に、マウスにおいて妊娠13.5日以降に運動効果が認められ、胎盤から分泌される生理活性物質が胎児のエピジェネティクス変化を誘導し、糖代謝の改善に寄与することが示唆されています。また、この生理活性物質を胎児の肝臓まで輸送するためにビタミンDが重要な役割を果たすことも報告されています。

Joji Kusuyama et al. cell Metab   33(5) 939-956 2021より改変

 

さらに、運動習慣を有する父親由来の影響としても、精子の機能や栄養輸送関連遺伝子の発現変化が認められ、次世代への影響が示されています。

 

3.運動療法に対する反応性の個人差について

徳島大学の野村和弘先生の報告では、「痩せにくい肥満」、すなわち運動効果が得られにくい肥満の方について検討されています。

同じ運動を行っても体重減少の程度には個人差があり、効果が乏しい群ではアドレナリン抵抗性が関与していることが示されました。肥満者の骨格筋ではβ2アドレナリン受容体の発現低下が認められ、その要因としてプロモーター領域のDNAメチル化が関与していることが示唆されています。

このメチル化は活動量の低下や肥満と関連していました。一方で、加齢に伴うβ2アドレナリン受容体低下では、メチル化ではなく転写因子SP1の発現低下が主因と考えられています。

Naoki Kuramoto, Kazuhiro Nomura et al. Sci Rep. 2021  Feb 10;11:3447より改変

また、継続的な運動によりβ2アドレナリン受容体発現が改善することから、エピジェネティックな変化の可逆性も示唆されています。

 

まとめ

運動療法は単なる血糖改善手段にとどまらず、認知機能の維持、骨・筋機能の改善、さらには次世代への代謝影響にまで関与する包括的な介入であることが示されています。

また、その効果には運動の種類や実施方法、さらには個人差が存在するため、今後はより個別化された運動療法の重要性が高まると考えられます。

 

当院でも、エビデンスに基づいた運動療法の提案と継続支援に取り組んでまいります。

 

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