なんのために治療をするのか。
糖尿病による影響を最小限に抑え、生涯、ご自身らしく活躍するために治療します。
血糖値をコントロールし、血糖の変動を抑えると、日々の生活の視点では、血糖の乱高下による体調不良を防ぐことができます。
長期的な視点では、合併症を予防することができます。
合併症の確認のために、適切な頻度で定期的に他の専門科と連携します。
糖尿病と向き合っていると、理想通りにいかないことがあります。
長い人生の中では、日々の血糖コントロールを差し置いても優先すべきライフイベントに遭遇することもあると思います。
そんなとき、合併症が進行しない最低限のバランスをとれるように提言することも我々の大切な役割だと考えています。
患者さんが大切にしていることを尊重しながら、医療者としてエビデンスに基づいた治療法を提案していけたらと思っております。
治療内容
1型糖尿病と2型糖尿病は、成因が大きく異なるため、治療方法も異なります。
- 1型糖尿病
- 1型糖尿病は、生活習慣とは関連がない膵臓の機能障害であるため、日々の生活に合わせたインスリン補充が治療の主体となります。
- 2型糖尿病
- 2型糖尿病は生活習慣の影響が大きい場合があり(そうでない方もいらっしゃいます)、生活習慣の是正も重要な治療項目となります。
一方で、1型糖尿病、2型糖尿病と病名で区切って一括できるものでもありません。
ご年齢やライフステージ、合併症の程度、既往歴、家族歴などによっても、目指すべき血糖コントロールや気を付けなければならないポイントが変わります。
そして、大切にしていること、どうしても譲れないことは、おひとりおひとり違います。
糖尿病のタイプだけでなく、個人の背景も考慮した治療を行います。
内服治療
現在の血糖コントロールの状態のほか、体形や合併症の程度、既往歴などによって、選択する薬剤が変わってきます。
1型糖尿病の方もインスリンとの併用で使用できる内服薬があります。
ガイドラインや個々の薬剤の持つエビデンスは重視しながらも、おひとりおひとりに合わせたご提案を心がけています。
インスリン治療
インスリン治療を行う際に以下のこと心がけております。
- 必要な人に適正な量を
- 膵臓の機能を評価し、インスリンの必要量を考えます。
インスリンをやめられる方はやめる方向で調整していきます。
病態に合った内服薬等と併用することでインスリン量を減らせるかどうか検討します。
反対に将来を考えて、インスリン導入をしたほうが良い場合もあります。
インスリンは、安全な薬剤です。日本で妊娠中の方が使える血糖降下作用のある薬剤はインスリンだけです。糖尿病治療の末期に使う最後の砦ではありません。
必要な人に、必要な量を、適正量を見極めることを大切にしています。
- 低血糖を減らす
- 低血糖は、認知症など将来への影響も懸念されます。HbA1c の低い方は低血糖のリスクとも隣り合わせです。
目先のHbA1cよりも、将来に影響を及ぼすような低血糖を起こさないことを重視します。
- ライフスタイルを考慮
- インスリンは種類によって、効果の持続時間や効果が出るまでの時間が異なります。
打つ回数やタイミングは、ライフスタイルに合わせて、相談しながら決めます。
継続しやすい方法を探っていきます。
- 経済面や
環境面にも考慮
- インスリンはご希望に合わせて全製剤カートリッジタイプへ変更可能です。
従来の使い捨てタイプのペン型インスリン(プレフィルドタイプ)からカートリッジタイプへの変更で1本あたりのインスリンの自己負担額を15-50%抑えることが可能になります。また、変更により廃棄部分がコンパクトになるため、環境にも配慮した選択になります。
その他、内服薬のジェネリック薬品に該当するバイオシミラー製剤も取り扱っております。
先進デバイス(CGM・インスリンポンプ)
インスリンポンプやCGMなどの先進デバイスは、日本で使用できる製品はすべて取り扱っております。
今後も新しいデバイスが日本でも使用できるようになりますが、最新機種をいち早く取り入れることができるのはクリニックで治療を受けるメリットと考えております。
2型糖尿病の方も病状や治療内容によっては、保険適応の場合がございますのでご相談ください。
*CGMの導入や、注射からインスリンポンプへの切り替えは、外来で行っております。