このたび、東京都港区西新橋に「あおいクリニック」を開院することとなりました。私たちは小学校からの同級生で、ともに予防医学への興味から糖尿病を専攻し、これまで東京慈恵会医科大学の糖尿病・代謝・内分泌内科にて診療に従事してまいりました。
大学病院で糖尿病診療に携わるなか、患者さんの中には、職場や学校から近い専門医という理由で大学病院へ通院されている方も多く、診察にかかる時間や定期診察の間隔、予約時間の柔軟性といった観点から、大学病院よりもクリニックの方が適している方を多く見受けました。また大きな病院で年1回程の定期的に検査が必要なため、大学病院への通院を継続している方もいらっしゃいました。糖尿病を専門とする医師の診察が可能で、かつ大学と診療所それぞれのメリットを生かしながら柔軟に行き来できる適切な病診連携の必要性を実感し、この地での開業を決意いたしました。
2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病は、自覚症状がほとんどないために治療へのモチベーションを保ちにくい疾患ですが、放っておけば徐々に、しかし確実に、血管へダメージを与え、合併症を引き起こします。
1型糖尿病も、生活習慣病とは成因が大きく異なるものの、合併症予防が重要であること、血糖値のコントロールのために毎回の食事や日々の行動の振り返りが必要であることは共通しています。
合併症予防には地道な努力を要し、治療の継続にはモチベーションの維持が不可欠です。「なぜ治療するか」ということを知っていただくための情報提供を大切にしたいと思います。そして、それぞれに「できないこと」と「できること・やってみてもいいと思えること」があります。生活に合わせて実現可能な目標を立てて合併症予防に努めます。
私たちの役目は、患者さんが御自身のフィールドにおいて、生涯にわたり第一線で活躍するための健康管理と考えております。そのために生活習慣病や1型糖尿病をしっかりとコントロールして合併症予防に努めるほか、かかりつけ医として健診結果の管理や適切なタイミングでの病診連携を行います。
慢性疾患としっかり向き合ってきたからこそずっと元気でいられた、と患者さんが「一病息災」を実感できるクリニックでありたいと思います。また、患者さん一人一人の健康寿命(元気に活動的に生きられる時間)の延伸は、結果として、日本の医療経済の発展や社会資源の確保にもつながります。これもまた私たち糖尿病内科医に課された使命だと考えています。
多くの患者さんのお役に立てる医療を提供できるクリニックとなるよう、医師としての自己研鑽の継続と思いやりの気持ちを大切に努めて参りたいと思います。
恩田 美湖・森武 美帆