エピジェネティクスとは
エピジェネティクスとは、「遺伝子そのもの(DNAの配列)を変えることなく、遺伝子の働き方をコントロールするしくみ」を研究する分野です。
DNAの配列は、年齢を重ねてもほとんど変わりませんが、遺伝子のスイッチのオン・オフは、生活習慣や環境によって大きく変わります。
たとえば、食事の内容、喫煙や飲酒、ストレス、年齢などが、大きく影響することがわかってきています。
つまり、同じDNAを持っていても、どう生きるかによって体の中で働く遺伝子が変わり、健康状態にも差が出てくる――それがエピジェネティクスの考え方です。
遺伝子のスイッチの「オン・オフ」が健康を左右します。
私たちの体では、DNAから必要な情報を読み取って転写し、タンパク質がつくられます。そのスタート地点となるのが「プロモーター」と呼ばれる場所です。
この部分に“アセチル基”がつくとスイッチが「オン」になり、遺伝子が働きはじめます。逆に、“メチル基”がつくとスイッチは「オフ」になり、遺伝子は働かなくなります。
がんや生活習慣病、うつ病などの病気には、遺伝子そのものに変異がある場合もありますが、それ以上に、「スイッチのオン・オフ(=エピジェネティクス)」のほうが病気の発症に深く関わっていることが近年の研究でわかってきました。
そしてこのスイッチの状態は、食事や睡眠、運動、ストレスなど、日々の生活習慣によって変えられるという大きな特徴があります。