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GLP-1受容体作動薬の特徴

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体全体の健康を支えるGLP-1受容体作動薬

こんにちは、管理栄養士の千葉です。

近年、2型糖尿病治療の分野ではインクレチン関連薬が大きな注目を集めています。グルカゴン様ペプチド(Glucagon-like peptide-1:GLP-1)製剤である GLP-1受容体作動薬は、血糖コントロールのみならず、心血管・腎保護作用や体重減少効果など、多面的な臨床効果を示しています。

今回は、これらの薬剤の特徴とエビデンスを整理してご紹介します。

 

1.糖尿病の治療薬として開発されたGLP-1

最近、テレビやニュースでも耳にすることが増えているGLP-1受容体作動薬(オゼンピック®/ウゴービ®など)。

もともとは糖尿病の治療薬として開発されましたが、近年では体重を減らしたり、心臓や腎臓を守る働きもあることが分かってきています。

さらに近年では、新しいタイプのGIP/GLP-1受容体作動薬(マンジャロ®/ゼップバウンド)も登場し、医学界で大きな注目を集めています。

今回は、インクレチン関連薬についての歴史的背景と新しい知見についてご紹介します。

 

.インクレチンとは

私たちが食事をすると、腸からGLP-1やGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)などといったホルモンが分泌されます。このホルモンをインクレチンと呼びます。

インクレチンは、膵臓に働きかけて血糖値が高いときだけインスリンの分泌を助けるという仕組みを持っています。

糖尿病を持つ人では、これらインクレチンの働きが弱くなっているため、人工的にインクレチンの作用を高める薬として、GLP-1受容体作動薬が開発されました。

  • GLP-1受容体作動薬:GLP-1の働きを強く再現する注射薬(飲み薬もあります)

GLP-1受容体作動薬は、血糖を下げるだけでなく、胃の動きをゆっくりにして食欲を抑え、体重を減らす効果もあります。

そのほか、GLP-1にはさまざまな作用があることが報告されています。

    Muskiet MNA et.al Nat rev  13(10):605-628. 2017より改変

 

.「心臓と腎臓も守る」GLP-1薬の新たな発見

近年の大規模な臨床試験である心血管アウトカム試験:CVOTによって、GLP-1受容体作動薬が糖尿病患者の心臓病や脳卒中、腎臓病を減らすことが明らかになってきました。

たとえば、GLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(ビクトーザ®)やセマグルチド(オゼンピック®)などの薬では、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントが約14%減少したというデータもあります。

また、腎機能の悪化を防ぐ効果も確認されています。

つまりGLP-1受容体作動薬は、単なる血糖降下薬ではなく、全身の健康を守る薬としても期待されています。

 

.副作用と注意点

GLP-1受容体作動薬でよくみられるのが、胃の不快感や吐き気、下痢などの消化器症状です。

ほとんどは慣れてくると症状は落ち着いてきますが、最初は少ない量からゆっくり増やすことが大切です。

また、強い食欲抑制で体重が落ちやすいため、高齢者や筋量の少ない方(低体重、フレイル、サルコペニアの方など)では注意が必要です。

胆石や胆嚢炎などの胆道系のトラブルが起きることも報告され、2023年に厚生労働省が副作用項目として追加しています。

一方で、以前懸念されていた膵炎や膵がんなどのリスクについては、現時点の研究ではヒトにおいて明確な増加は認められていませんが、長期的な安全性については今後も注視していく必要があります。

 

.これからの糖尿病・肥満症治療は「体全体を整える時代」へ

GLP-1受容体作動薬は、血糖を下げるだけでなく、体重・心臓・腎臓・血管など、体全体を整える薬へと進化しています。

さらに、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(ウゴービ®)は肥満症治療薬としても承認され、糖尿病の有無に関わらず健康改善に使えるようになってきました。

これからの糖尿病治療は、単に血糖値を下げるだけでなく、「心血管を守る」「太りにくい体をつくる」「老化を防ぐ」など、全身の健康をトータルで考える時代に移りつつあります。

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