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【肥満学会2025レポート①】

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こんにちは、管理栄養士の千葉です。
2025年10月4日(土)・5日(日)の2日間、横浜市の岡山コンベンションセンターにて「第46回日本肥満学会・第43回日本肥満症治療学会学術集会」が開催され、参加してまいりました。

 

 

今回の合同学会では、「脂肪細胞のバイオロジーと統合的肥満症治療時代の幕開け」をテーマに、基礎研究から臨床応用、多職種連携に至るまで、肥満症治療の今と未来を多角的に学ぶことができました。

 

 

近年は「ウゴービ皮下注(セマグルチド)」や「ゼップバウンド皮下注(チルゼパチド)」などの肥満症治療薬が登場し、肥満症治療は大きく進化しています。一方で、これらを美容目的で使用する問題や、適正使用のあり方も問われており、医療の現場では慎重な対応が求められています。

 

今回のレポートテーマ:「オベシティスティグマ(肥満に対する偏見)」について

肥満や肥満症の治療には、医学的・技術的な課題だけでなく、「スティグマ(偏見や差別)」という“見えない壁”が大きく立ちはだかっています。

 

 

肥満は“自己責任”なのか

「太っている=自己管理ができない」と考えがちですが、実際の肥満症は、遺伝的要因・環境・心理的ストレス・社会的背景などが複雑に絡み合って起こる慢性疾患です。それにもかかわらず、今なお「怠けているから太る」「自分の責任だ」といった偏見が根強く残っています。

また、こうした偏見は社会からだけでなく、当事者自身が「自己責任だ」と思い込んでしまう場合も多く、その結果、受療行動が減少するなど、必要な医療を受ける機会を逃してしまうケースも報告されています。

 

医療者の中にも偏見が

驚くことに、医師や看護師といった医療従事者の中にも、肥満に対して否定的な先入観を持っている人がいるという調査結果もあります。その影響で、患者との信頼関係が築けなかったり、治療の優先度が下がってしまうことがあります。

 

正しい理解と治療選択肢の普及を

これまで肥満症治療は「食事制限」「運動療法」が中心でしたが、近年は薬物療法や外科的治療などの科学的根拠に基づく選択肢が増えています。しかしながら、偏見によって治療の必要性が認識されず、治療が行き届かない現状があります。

社会全体が「肥満症は医学的に治療すべき疾患である」という正しい認識を持つことが、これからの医療に求められています。

 

最後に

肥満や肥満症に悩む方々が、偏見に苦しまず、必要な医療に安心してアクセスできる社会をつくるには、私たち一人ひとりの意識改革が不可欠です。

・肥満に至る背景をしっかりと聞くこと

・偏見を持たず、病気として理解すること

・そして、正しい知識を広めること

こうした一歩一歩が、スティグマを乗り越える力になります。

これからも、肥満症への理解促進と質の高い医療の実現に向けて、学びと発信を重ねてまいります。

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