
こんにちは。
あおいクリニック医師の恩田です。
先日、当院の千葉管理栄養士がサマーキャンプに参加させていただきました。(その様子は前回の記事をご覧ください!)
実は私自身も、今から7〜8年前に同じサマーキャンプに何度か参加させていただいた経験があります。
そのときの気づきを、以前にInstagramに投稿していたのですが、今回のご縁をきっかけにあらためて読み返し、今の診療にも通じる大切な原点だと感じました。
以下、当時の投稿を少しだけ整えて、ここに再掲します。
サマーキャンプに参加したきっかけ
大学院生の頃、「 我が国におけるType1の小児患者が、
幼少期にType1を発症した子どもたちが、大人になっても小児科に通い続けるケースが少なくないのです。
「小児科の先生方は、Type1のこどもたちにどんなふうに接しているのだろう?」
そんな素朴な疑問をきっかけに、私はType1の子どもたちが集うサマーキャンプに参加させていただきました。
そこで私は、医師として、そして一人の大人として、大きな衝撃と気づきを得ることになります。
サマーキャンプで受けた衝撃
キャンプで見た子どもたちの様子は、ある意味カルチャーショックでした。
キャンプでの子どもたちは、全力で遊んで低血糖になったり、
インスリンを打っても食事が口に合わず食べられずに低血糖になったり、
カレーライスを何度もおかわりして、カーボカウントで追加インスリンをしても血糖値はジェットコースターのように乱高下……。
血糖値の観点から見れば、めちゃくちゃです。
でも、それが「こどもとして当たり前の行動」であることも、また事実です。
行動のすべてが血糖値に影響するという現実
Type1とともに生きるということは、日々のすべての行動が血糖値に影響するということ。
この現実の重さを、私はキャンプの現場において肌で感じました。
小児科医と内科医、それぞれの視点
内科医としての私たちは、「5年後、10年後 、そして20年後も合併症なく元気でいられるように」という長期的な視点を大切にします。
それに対して、小児科の先生方は「人として」「こどもとして」の成長過程そのものをとても大切にしていると感じました。
糖尿病の専門知識は不可欠であり、糖尿病専門医であることはもちろん大切ですが、
「小児科医がこどもを診ること」「内科医が大人を診ること」には、それぞれに意味と役割があると、あらためて実感した瞬間でもありました。
Type1である以外は、何も変わらない
Type1であることを除けば、他のこどもと何ら変わりません。
でも、ふとした言動に驚くほどの精神的成熟を感じることがあります。
その感動に出会いたくて、私はサマーキャンプに足を運んでいたのだと思います。
人の痛みが分かること、困っている人に自然に手を差し伸べられること。
これは、大人でもなかなかできないことです。
「ちょうど良い距離感で手助けをする」というのは、簡単なようでとても難しい。
それらをごく自然にやってのける子どもたちを見ていると、type1という経験が彼らの精神的な成長に影響を与えている部分は大きいと感じずにはいられません。
サマーキャンプでの経験が、今の私の診療姿勢にも少なからず影響を与えています。
そして今年、当院のスタッフがまたこのサマーキャンプに参加させていただけたことを、とても嬉しく思っています。
今後も、Type1の患者さんたちにとって、よりよい医療と生活のサポートができるよう努力していきたいと思います。